火と闇の記憶:高幡不動駅 街はぴライター 投稿記事

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火と闇の記憶
【イベント】【高幡不動】
回帰線」さんによって書かれた記事です。
この記事は129はぴです。
 知人と擦れ違っても気付かぬほど暗い中、多くの人影が歩き佇みしゃがみ込む。足元に整然と並べられた灯篭の淡い光は、かえって闇を際立たせ、闇は至って人を寡黙にしていた。夜がもっともっと暗かった昔が思い出される。

 第2回「たかはたもみじ灯路」、1300個の水を入れたプラスティック・カップに浮かぶ蝋燭が、街灯はおろか店内の照明まで消された商店街を埋め柔らかな光を放ちます。見慣れた高幡不動駅前の一角は一変、非日常世界の出現です。

 人は何故揺らめく炎を見ることでこうも心が和むのでしょうか。我々の遠い祖先である原人が150万年ほど前に使用し始めたといわれる火。それ以来炎を眺めて夜を過ごしてきた人類の長い歴史によるものかもしれませんね。

 日常生活においては、炎とも闇ともすっかり無縁となってしまった私達都会人ですが、今回、「たかはたもみじ灯路」を訪れて感じたことがあります。『闇は、他人の視線を意識しなくてよいという点で人を解放する』ということです。酔っ払いが蹴倒し消えてしまった灯篭を、なんと恥ずかしがり屋の私がですよ、人込みの中幾つも修復して回ったのですから。もし明るかったなら、決してそんなことはしなかったでしょう。

 路地裏の居酒屋も灯りを落とし、まるで定休日の様です。近付いてよく見れば引き戸に『営業しております』の張り紙、内部に揺れる微かな灯りは蝋燭でしょう。お銚子の1本か2本も、とは思ったのですが何分持ち合わせは皆無、表通りに出た私は明るい街灯の下、すごすごと家路についたのでした。遺伝子に染み込んだ火と闇の記憶、ちょっと甦ったひと時でした。
掲載日付:2007/11/25
沿線ライター:回帰線さん

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